1日に川崎市青少年科学館につづいて訪問・見学した明治大学平和教育登戸資料館。私が4年間学んだ明治大学生田キャンパス内にいまなお一部残る陸軍の建物をリフォームして資料館になっています。陸軍登戸研究所といえば、陸軍中野学校に並ぶ有名な施設だったものの、研究内容は秘密に包まれ、さらに終戦翌日の1945年8月16日に資料や実験器具が処分されたために、戦後もつい最近まで詳しい全容を知ることはできませんでした。それを最初に明らかにしたのは、意外にも法政二高と赤穂高校(長野県)の生徒たち。文化祭の発表のための研究でしたが、沈黙を続けていた元関係者からの聞き取り(子供だから話したそうです)にも成功。それがきっかけとなり明大関係者・川崎市民なども資料発掘などに参加して資料館開館の基礎となったもの。
展示室はご覧のように戦中と戦後が入り混じった内装となっています。高い天井はいかにも戦中といった感じですが、1950年から約60年間も明大の実験室として使用されたため、画像左下の流し台などはその時のもの。最新の展示機材も相まって70年前~現在の一瞬のタイムトラベルという感じ。登戸研究所では偽札製造・生物兵器研究・スパイ道具研究など様々な「裏兵器」の研究が行われていましたが、ワタシ的に最も印象深いのが風船爆弾。太平洋戦争末期に、主に冬季に日本からアメリカ本土に向かって高速で吹くジェット気流を活用して爆弾を吊るした風船を放球したもの。本当に太平洋を横断して9000キロもの旅をし、アメリカ・カナダ・メキシコ本土に約1割が到達し米国人犠牲者も出ました。かなり詳しい展示で実態を知ることができました。当時としては大変なハイテクだったようです。
全体的に詳しい展示内容なものの、それらについて善悪や非人道的とかの記述はほぼ皆無で、見学者自ら考えて欲しいというメッセージが伝わります。こういう点はいかにも明治大学らしいです。興味ある方見に行かれてはいかがでしょうか?火~土の10:00~16:00の開館です。(入試期間・試験期間などは閉館)